人がニートを辞めるためには 3  真面目でクズは無能ではない

「お前は駄目な奴だ」
「君は何もできない人なんだね」

小学校の教師は子供を簡単に傷つける。

1 人を動かすのは思想と哲学

自分にポリシーがあるのかと言えば無い。
座右の銘があるかと問われれば特になし。
政治思想を問われれば、小林よしのりの『戦争論』だけ。

面接に答えるだけの自分がまったくなかった。
国家が無いまま戦争している兵士だった。

面接が嫌いなのは自分を語るのが嫌いだからだ。
嫌いなものをPRできるわけがない。
自分が無い人間に就職活動はできなかった。

僕はテレビのニュースで世界を知り
バラエティー番組で人間関係を学び
エロゲーで性愛を知った。
人間を構成する思想や哲学が歪んでいた。

面接に合格した人は自分を持っていた。
将来の予測、自分の信じるもの、自分の好きなものを
根拠の無い自信でスラスラと答えていた。

彼らはサークルや友人関係で自己PRができていた。
僕には自分を動かす思想がなかった。

2 大学でやってきた事は

僕は、真面目系クズだった。
選択した授業は必ず出席して、単位を落としたことがなかった。
人が嫌いで、サークルに参加しなかった。

言語学文化人類学、心理学に興味を持ち
友人が嫌がる授業でも興味本位だけで出席した。
ゼミは休まず参加して、レポート発表もこなした。

僕の指導教授は哲学の専攻だった。
現代哲学の翻訳をしていたそうだ。

最初は読みにくい哲学書でも、メモを取って自分の解釈で
読んでいけば、いつか理解できるようになると教えてくれた。

また、文化人類学の教授から昭和初期の文献を読むように言われ
根性で読み解いて、レポートを提出した。

読書が嫌いだった僕は、この指導で読書ができるようになった。
クズだった僕が大学で学んだことは、読書の仕方だけだった。
だが、思い込みからのパラダイムシフトになったのだ。

3 自分の趣味から問い直せ

僕はオタクの自分が嫌いだった。
オタク趣味で差異化ゲームをする人が嫌いだった。

同じ趣味をしている人の一方的な会話に嫌悪していた。
そういった人を論破するために読書をした。

最初に影響されたのは、東浩紀
動物化するポストモダン』だった。

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

なぜ、キャラクターが好きになるのかに答えてくれた。
担当教授の現代哲学が萌えに繋がるとは気づかせてくれた。

次に影響を受けたのが、大塚英志の『定本 物語消費論』
だった。

定本 物語消費論 (角川文庫)

定本 物語消費論 (角川文庫)

物語がどのように消費され生まれていくのかを教えてくれた。

オタク趣味と大学の学問が繋がった瞬間だった。
創作が文化人類学と結びつくとは知らなかった。

真剣にオタク趣味の批評をする著者に憧れて
自分もそうなりたいと思ったのだ。

やっと、自分のオタク趣味が無駄ではなかった事を
認めることができるようになった。

4 それから、僕は

それから、僕は就職関係の本が読めるようになった。
今まで自己PRで躓いていたのだ。

たくさんの読書ができるようになって
乱読するまでに成長した。
斉藤環宮台真司の著書は僕の哲学と思想になった。

現在の中高生は、匿名掲示板やまとめブログが
思想や哲学になっている思う。
残念なのは、この思想が人を育てるのではなく
人をひきこもらせる思想になっている事だ。

ニートや引きこもりになったら復帰できない」とか
「新卒を逃したら終わり」と言う考えは間違いであると思う。
「真面目系クズ」も同じで、真面目でない奴は仕事すらできない。
休み無く大学で勉強する奴が、一番会社で役に立つ。
真面目であることから、成長できることがたくさんある。

誰かを差別して喜ぶ人間は幸せになれない。
それだけは僕でもわかっている。