RPGツクールのせいでニートになった13 上級の誉め言葉を頂いた

始業式が始まり、3年生は早くに始まる期末試験に大忙しであった。

この頃、Bが同じクラスのYさんに自分が制作したRPG(RPGツクール SUPER DANTE)を貸していた。(彼らは推薦で進路が決まっており時間があったのだ。)
それが縁で、彼女にウィズダムブックをカートリッジごと貸す事になった。

期末試験が終了した頃、やっとYさんに感想を聞くことができた。

「面白かった」

初めて嬉しい感想を聞いた。この一言で僕は救われた。
『面白い』という感想は、泣いたとか感動したよりも上級の誉め言葉である。
ゲームに泣きも感動もいらないことが僕の持論である。

Yさんは、2章がお気に入りでマルチエンディングをすべて見るために
2章を2回プレイしたらしかった。
見事隠し要素が成功したのだ。

以後、僕はウィズダムブックが成功したと思うことにした。
負け続けだったけど一回だけ勝つことができたのだ。

高校卒業後
僕はCに返してもらった『RPGツクール2』のカートリッジをスーパーファミコンに差し込み、電源のスイッチを前に押した。

あれ、これはCのセーブデータじゃないか。
僕はCがクリアしたのかを確認するために、セーブデータを確認した。
そこには、最後のセーブポイントでセーブされたデータがあった。

AとBが、プレイしたようなテストプレイ用の改造データではなかった。

Cはきちんと正規のルートでゲームをクリアしていたのだった。