RPGツクールのせいでニートになった11 第3章 ウィズダムブック 後編

Wisdom Book 第3章 ウィズダムブック 後編


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登場人物
ユオン:妖魔エルフィーの青年。ウィズダムブックで人間に復讐しようとしている。
ティータ:ユリアの親友。数年前に人間に殺され、血肉を喰われた。

あらすじ
「一緒に姉さんの仇を討とう。ユリア」

妖魔エルフィーのユオンは、ウィズダムブックを手に入れて
人間たちに復讐を宣言する。
人と妖魔の間に立ち、ユリアは存在理由を見つけようとする。


章立てのオムニバス作品において、全章の統括は重要だ。
ドラゴンクエスト4の5章も、勇者を中心に各章の仲間と合流する内容だった。

当然このゲームも、各章の仲間と合流して欲しいという要求があった。

僕は久しぶりにキレた。
各章がウィズダムブックでリレーしているのに
なぜ、既存のRPGと同じにするのか。

パーティー編成のイベントを作る苦労が分からないのか。

この段階で、容量が不足していたのに加えて理不尽な要求が増えてきたので
僕は怒ってしまった。

3章のパーティー構成はドラゴンクエスト2を参考にバランスを調整していたので
3人パーティーに追加メンバーを足すことが嫌だった。
3章のメンバーはドラゴンクエスト2の3人を参考にしている。

クライブ:戦士。ローレシアの王子を参考。剣を使う。
ユリア:魔法戦士サマルトリアの王子と同じく魔法と剣を使う。
メリル:魔法使い。ムーンブルクの王女と同じく魔法を使う。

戦闘バランスは3人で戦うことを想定して調節していた。
雑魚戦は、2〜3ターンで終わるようにして難易度も難しくならないように調整した。

僕は全章の統括として、パンドラの箱を開けた張本人である1章の主人公を再登場させる事で全シナリオの繋がりをつくった。
僕は1章担当者に相談せずに登場させたので怒られてしまった。

約二ヶ月を掛けて、ウィズダムブックの第一バージョンを完成させた。
僕はメンバーの二人に完成したゲームをプレイしてもらった。

「話が在り来たりでつまらない」
「ストーリーがシリアスすぎて白ける」

特に僕の3章は不評であった。
二人の章に合わせて3章を製作したが、その統括として納得できないものだったらしい。

お叱りを受けて受験勉強の合間に、3章のシナリオの改善とおまけ要素である闘技場と隠しダンジョンの設置を開始した。

3章のバーションは複数ある。いずれも彼らの要求に応える為に改良したものだった。

ver1.0:ラスボスはウィズダムブックの呪いに取り込まれたユオン。ウィズダムブック自体が意識を持ち、ユオンの体を乗っ取る。

ver1.5:3章のセリフをギャグ調にしてキャラの性格を改変。闘技場と隠しダンジョンを設置。

ver2.0:ギャグ調のセリフをすべて戻す。ラスボスをユリアの親友ティータにする。ダンジョンと戦闘バランスの改善。容量確保の為に闘技場と隠しダンジョンを廃止。

ver1.5は、批判された事が悔しくて納得できない状態で改変した。メンバーの好みに合わせてギャク調のセリフに改変して笑ってもらえるように改良した。
また、隠しダンジョンと強敵と戦える闘技場を設置してユーザーサービスに徹した。

納得できない状態で改良すると作る自体がつまらなくなってしまう。
改変させられる事自体が屈辱で、それを強いられる事が悔しかった。
自分のゲームなのに自分に好きにつくれない。
集団作業の欠点が露呈してしまったのだ。

ver1.5の改良も友人Bが納得できないらしく
直接ツクール2でセリフを変えてしまった。

ver2.0は高校卒業後に改良したバーションである。
自分が納得できる改良だったので楽しく作業が出来た。

ウィズダムブックを完成させた僕は、ゲーマーの友人Cにツクール2のカセットを渡した。
大学受験直前の冬休みであった。